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魍魎拳

漫画の感想の置き場

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この読切が面白い2013 ~小学館編~



スキャナーがほしいなぁと思う今日この頃




雑誌を読んでいると時々ガツンと胸を打つ読切作品に出会うことがあって、その突然の出会いは私の心に強い印象をもたらし、連載作品を追う「今週も面白かったな」以前の感動段階、「素晴らしい作品に出会えた」という感動をくれる、素敵な存在です。


しかし読切というものはその号限りのお楽しみ、次の週になったらその作品のことも作者のこともいつの間にか忘れてしまう、刹那的な作品です。
でも私はそんないい作品のことを忘れてしまいたくはない。できるだけ保存しておきたいし、その感動、感動をくれた作者の情報を忘れたくない。何度も読み返したいのです。



が、スキャナーを持ってない三流読者の私は、雑誌を読む中で面白い読切に出会ってもそれを保存するすべがなく、こんな感じで該当ページを無理やりひん剥くしかない。



とりあえず雑誌から引きちぎって手元に残しておくようにしています。



このマンガがスゴイとかなんとかなこの時期、私も今年一年の総まとめとして面白かった漫画を振り返ってみたいなぁなどと思ったんですが

特に印象に残っている作品はもうブログに書いちゃってるし、「僕が考えた最強の漫画2013」的なことは漫画好きの人たちがそこかしこで話し尽くしていると思うので、私は今年面白かった読切に絞ってニッチを狙っていこうかなと思います。

回顧することで作者の名前を覚えられし、いつかどこかで同じ作者さんに出くわしたときに再会の感動を得られるように。
ブログを始めたのが今年の6月からということで、6月以降の雑誌に掲載された読切の中で、特に印象に残っているものをひたすらに書き連ねていきます。







月刊スピリッツ11月号『地の底の天上』竹良実



ソクヨミで無料公開されています
今年読んだ読切の中で一番印象深かったのがこれです。工房から見放され紙幣印刷の版の贋作職人として生きる男と、病の中銅版画の技術のみを磨き人生のすべてをかけてきた原盤制作者が紙幣を通して出会い、互いを超えようとする熾烈な争いを繰り広げ奇妙な友情を紡ぐという話。

原盤制作者が作り上げた最高制度の原盤を贋作師が完璧に模倣した瞬間に、両氏がお互いの力を讃え認め合うシーンは本当に素晴らしかったなぁと思います。





月刊スピリッツ10月号『11時間』御宝百


こちらも無料公開されています。

居心地の悪い叔母夫婦の家で生活する女子高生の、イライラする生活模様から出奔までを描いた話なんですが、叔母家族(婆・母・夫・息子)それぞれに感じる嫌悪感がザラッザラのねっちょねちょで、本当に読んでてもやっとする、生々しい話でした。

言葉選びやロジックの展開が柔らかいようで毒々しい、面白いバランスを取ってます。伏線の回収も巧みです。




月刊スピリッツ1月号『小梅マーメイド』園田ゆり



高校放送部シリーズ、単行本化しないかなぁとひそかに期待しています。生活の中の面白い音をサ.ンプリングして「モノが燃える音」「人魚が泳ぐ音」「雪を踏みしめる音」等をミックスする趣味を持つ女子高生という、なかなかにマニアックなヒロインが周囲の放送部員との距離を感じたり感じなかったり、同級生に告白されてるのに音のことが気になってスルーしちゃったりする話。





現実の音ではない擬音を別の代替物で再現するという言わば正解のない難題と、人間関係のいざこざを絡めて物語が進み、さわやかな青春部活ものとしてまとまっていてとても良いです。






月刊IKKI12月号『NIJI ~ニジ~ 』谷島大恵



一人の男が何年もの間同じ位置から打ち続けたシュート、その軌道は空間に刻み込まれ記憶として記録される。



サッカーチームの監督を務める主人公は、父が終生身を粉にして探し求めた究極の軌道を描くシュートを見るために、自身のチームの若手ストライカーにその夢を託す。偶然にもストライカーは試合前に究極軌道シュートの夢を見ていて、試合中遂にその軌道を捉え、その虹の軌道を掘り起こす、という短編。






サッカーさほど好きじゃない私が食い入るように読んでしまったこの読切、「亡き父の追い求めた夢」「空間に記録された究極の軌道」といった、サッカーとはまた別の職人気質なロマン主義に面白さの源泉があるのでしょう。スポーツ漫画とは思えないほどの重厚な絵柄も素敵です。







ゲッサンmini4(11月号付録)『タロウとオフィーリア』きゅっきゅぽん



絵が好きで勉強の合間に美術館に行っては無名の画家の作品『オフィーリア』をながめている多浪中の医大受験生のもとに、絵の中のオフィーリアが飛び出してくる話。


有名なミレイの『オフィーリア』と違って人から褒められるわけでもないオフィーリアは、何かこの世で価値のあることを成し遂げたいと一念発起して外界に飛び出すんだけど、絵の具でできたオフィーリアは働くことも現実の服を着ることもできず、主人公までも医大に合格して絵画への興味を失っていき、途方に暮れる。



泣きながら家を飛び出したオフィーリアを追いかけ、絵画が好きだったころの気持ちを思い出した主人公が、雨に濡れたオフィーリアの体を塗りなおすシーン、とても良かったです。




オフィーリアってのはシェイクスピアの戯曲に出てくる魔女の名前だそうです。





講談社編に続きます。

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