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魍魎拳

漫画の感想の置き場

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今すぐkiss meじゃない方の『リンドバーグ』

創作物の謳い文句に「どこか懐かしい物語」って表現が使われることがよくありますが、何をもって「懐かしい」といってるのかイマイチわかりませんよね。



私のなかでの「懐かしい」の定義は幼少期に見た景色やら経験やらそのときの心情なんかをしんみりと思い出すこと、「懐かしい物語」は自分の記憶にある情景(に近いもの)を描いたもの、って感じで

レトロな日本の街風情とか、ぼくのなつやすみ的なジュブナイル体験を描いているものを見て「懐かしい」と感じるのはよくわかるんですよね。



でも、「どこか懐かしい冒険ファンタジー」って謳い文句がついた作品に触れる時に、私たちは自分の記憶の何と結びつけて「懐かしい」と感じれば良いのやら迷ってしまいます。実際私はそれを読んで懐かしい気持ちになっているんですが、自分の経験とはかけ離れた世界の物語に感じるノスタルジーってのは、一対どっから湧いてくるもんなんでしょうか。ファンタジーみたいな冒険したこと、普通ないですよね。


でもやっぱり「どこか懐かしい冒険ファンタジー」ってのは存在しますし、私はそれが好きでたまりません。


ゲッサンで連載されていたアントンシク先生の『リンドバーグ』は、読んでてとても懐かしい気持ちになる飛行機ファンタジーです。






『Last Exile』や『天空の城ラピュタ』に似た空感。表紙の絵たまらんです。全八巻と読みやすいですよ。


恐竜のような姿で「空気を蹴り空を跳ねる」能力をもつ生物・リンドバーグ、リンドバーグに羽根と装甲を着け「空を翔ぶ生物」と「それを操るもの」として共生を図る人間の物語。


空を自由に飛んでみたいという夢を追う少年ニットと、ニットの亡き父が拾ってきた謎の生物プラモ 。

亡き父の夢を追い、毎日飛行機の設計をするニット。『ラピュタ』のパズーに似てますが、ニットの方が少年っぽい、と思います。




プラモはとにかく可愛い。単行本裏表紙は全て可愛いプラモの絵でしめられています。






プラモ本当にめっちゃ可愛い

二人のもとに現れた巨大なリンドバーグと空賊団船長シャーク。




藤原啓二の声が合いそうなイイ男です。
シャークに連れられてニットとプラモは故郷を飛び出し、シャーク空賊団の一員として世界を旅する、という話。


リンドバーグの力を軍事利用して隣国侵略・国土拡大を進める巨大帝国。シャーク空賊団と敵対関係。



其れを統べるは冷血な女帝



女帝直属飛空挺団「黒薔薇七銃士隊」







女帝が溺愛するじゃじゃ馬王女ティルダ





本当に素晴らしいじゃじゃ馬感
なんか映画『スチームボーイ』を思い出します。ニットをライバル視する彼女はリンドバーグレースでニット対決します。


そして深まる「リンドバーグ」の謎とともに進む物語…と、素晴らしいワクワク感でこのまんがは彩られています。


全編ニットの目線を通して描かれているので、読んでる側の気分は少年、私も8歳ぐらいになった気持ちで読んでいました。

特にシャークは大人になっても夢を追い続けてる、ニット達次世代のこどもに背中で道を示してくれる存在として、現実的な女帝達との比較のなかでめっちゃかっこいい人間として描かれてるんですね。『グレンラガン』のカミナのような、少年の憧れの存在なんです。

野郎であれば誰でも少年の気持ちになって読むことができる、外の世界を知らない無垢な気持ちで「冒険したい!!」と思うことができる、問答無用で少年まんがなんですね。『リンドバーグ』



またこの『リンドバーグ』の世界観を支える設定の緻密さがなんとも懐かしい気持ちにさせてくれます。

「リンドバーグ」のランク分け、飛空挺の設定ラフ、町や土地の説明文など、私たち少年読者がその世界観に想像を巡らせる余地がいっぱい仕込まれていて、ワクワクが押し寄せてきます。







「主に畜産が盛ん。」こんな一言だけでも読んでる側の想像はグッと広がりますよね。

リンドバーグのランク分け


スペイン語にちなんだネーミングや、ランクごとの特性がびっちり描き込まれてるあたり最高ですね。


少年まんがの単行本には、空きページで物語に登場する魅力的なアイテムを解説するコーナーがあり、やはり私も幼少期それをかじりつくように読んでいました。『NARUTO』の印の組み方しかり、RPGの攻略本の絵付き武器解説ページに近いものがあります。



と、このようにど真ん中ド直球ドストレートに最高な冒険ファンタジーなんですが、このワクワク感は何だかとても懐かしい。すごく「少年まんが」って感じがするんですよね。小さい頃にドラえもんの映画『のび太のふしぎ風使い』を観たときのような、こどもの頃のワクワク感。




今私が面白いと感じるものってこどもの頃に比べると随分幅が広がってきたように思うんす。
ねちっこい愛憎劇とかふわふわした雰囲気モノとか緻密な心理描写とか任侠とか、そういうのは大人になるにつれて少しずつ面白いと感じるようになったもので、最近はそういうのを中心に読むようになりました。


でも、こどもの頃に私が読んでたもの観てたものって、とりあえずひたすらワクワクする冒険ファンタジーだったんですよね。『シンドバットの冒険』とか『不思議の海のナディア』とか、とにかく冒険したがっていました。

「どこか懐かしい」とはつまり、少年の頃にはまりまくったものの大人になって疎遠になっていた冒険モノに、久々に触れたことで湧き起こるノスタルジーなんでしょうね。物語そのものではなく、物語から感じるワクワク感を通じて、そんなワクワクする冒険を楽しんでいた「懐かしい」少年の頃の記憶があると。


「懐かしいファンタジー」ってのはそういう意味なんだろうな、と思うわけです。


最近ワクワクするまんが読んでないなぁ、とか、老けたなぁ、とか思ってる人にはオススムです。一桁代まで若返ります、『リンドバーグ』。
本当にすげえ面白いですので、是非どうぞ…

―――――――――――――


そういや「役不足」って言葉を本来の意味で使ってる漫画はじめてみました。


一瞬言葉の意味を考えて、むしろ正しい使い方の方が理解に時間かかりますね。でもこのキャラ頭良いんだろうなぁなんて思える、良いコマでした。

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